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かじのにっき(梶 智洋 公式blog 厚生労働大臣認定一級ピアノ調律技能士)

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2019年 02月 06日

鍵盤の高さ、深さ、ベッティングスクリューの関係性について(ヤマハグランドピアノの場合)

鍵盤の高さ、深さ、ベッティングスクリューの関係性について(ヤマハグランドピアノの場合)記します

基本寸法、基本情報
鍵盤の高さ:棚板から白鍵下面まで64.0mm〜64.5mm
鍵盤の深さ:10.0mm
ベッティングスクリューの出面:1.5mm〜2.0mm
乾燥すると鍵盤は深くなり、湿度が高くなると鍵盤は浅くなる
ヤマハグランドピアノの整調工程の中で、正しい鍵盤の深さが非常に大事である

ヤマハのグランドピアノでベッティングスクリューが付いているピアノは、鍵盤筬の縦方向に走っている木材が柔らかいので、ベッティングスクリューの出面を調整する事で鍵盤の深さを正しい寸法に合わせる事が出来ます。

例えば鍵盤の深さが全体的に浅かった場合は、それぞれのベッティングスクリューを少し出すと深くなります。

しかし、ベッティングスクリューの出面はどんな時でもおおよそ1.5mm〜2.0mmであって欲しい為、ベッティングスクリューで鍵盤の深さを調整したい場合は、鍵盤の高さ、深さ、ベッティングスクリューの出面が事前に正しく調整されている事が条件になります。

年に何度も調律が実施されるホールやレコーディングスタジオなどのピアノの保守点検時、中古ピアノの再生やオーバーホール時などには、それらを考えながら整調作業を進めなくてはなりません。

作業を行う時が乾燥している場合(湿度が30%代)、全てのベッティングスクリューの出面を1.5mm程に合わせてから、浮いていたり張っている所を微調整し、それから鍵盤の高さを64.0mmに合わせた後、鍵盤の深さを10.0mmに合わせます。
(乾燥すると鍵盤が深くなるので、ベッティングスクリューを引っ込めて浅くなる方向に調整したいので、その時のベッティングスクリューの状態にしてから高さ、深さを作る)

逆に湿度が高い場合(60%代)、全てのベッティングスクリューの出面を2.0mm程に合わせてから、浮いていたり張っている所を微調整し、それから鍵盤の高さを64.5mmに合わせた後、鍵盤の深さを10.0mmに合わせます。
(湿度が高くなると鍵盤が浅くなるので、ベッティングスクリューを出して深くなる方向に調整したいので、その時のベッティングスクリューの状態にしてから高さ、深さを作る)

初めてこの作業をする時は、調整する紙(パンチングペーパー)の厚さや枚数を考えたりして大量に出し入れするので非常に時間がかかりますが、一度この関係性を作り上げた後は、毎回の調律時に鍵盤の深さを合わせるのに、ベッティングスクリューだけでほぼ丁度いい所にセッティングされますし、その後の保守点検時も短時間で正確に調整する事が可能になります。

このような事を計算しないで調整されたピアノは、例えば、鍵盤がだいぶ深くなったのでベッティングスクリューを引っ込めて鍵盤を浅くしようと思ってベッティングスクリューを見たら既に全く出ていなくて困った、とか、逆も然りです。

一度時間をかけてしっかり調整する時の寸法のまとめ
ベッティングスクリューの出面:乾燥している時(30%代)は1.5mm
湿度が高い時(60%代)は2.0mm
鍵盤の高さ:棚板から白鍵下面まで乾燥している時(30%代)は64.0mm
湿度が高い時(60%代)は64.5mm
鍵盤の深さ:常に10.0mm(ダンパー荷重がない場合で250gの重さが乗った時)




by kaji-piano | 2019-02-06 16:51 | Comments(0)


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