かじのにっき(厚生労働大臣認定一級ピアノ調律技能士 梶 智洋)

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2018年 10月 16日

断線確認から雑音発生、処理、その他

購入から16年ほど経った担当ホールのグランドピアノ。

7月22日の朝、コンサート調律の前に弦が切れているのを発見。
最高音のCの弦で、このピアノの断線は今回が初めて。

前回の調律は約半月前、私ではなく、別の会社の人。
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過去に断線修理を200本以上、調律中に切った弦は10本位経験してきた私の認識では、
この切れ方(カポダストロバー付近ではなくヒッチピン付近)は演奏中ではなく調律中に切ってしまったケースが多い。

演奏中に切れた場合はその隣の弦が10〜15centほどピッチが上がるが、今回の隣の弦は50cent以上高かった。
(調律中に切った可能性が高い?)

切れた場所が、先の方の弦を引っ掛けている所(ヒッチピン)なのに、写真のように弦を手前にずらしてある。
切れて残った弦をそのままにしておくと隣の弦に触れて雑音になるので、誰か人間がそのようにした。
(これは演奏者か調律師かどうかは不明)

どなたかが演奏中に最高音が切れたという経験は、私はまだ無く、聞いた事もまだない。
(購入後60年ほどのピアノで一番上のAの音を調律中に切ってしまった事はあります)

演奏中に弦が切れると演奏者は大体自覚があるが、最高音が切れた時は自覚出来るかどうかはわからない。

いずれにせよ、切れた後に、誰かがこのような状態にしたという事は事実。

次の写真。
赤い丸の所にあるべきものが残ってない。
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弦が切れた時に勢いでどこかに飛んで行ってしまったか、誰かが取り除いたかのどちらか。
演奏者が切って自覚があり申告した場合は、私に連絡があって張り替え修理に行くが、連絡はなかった。もし連絡があれば、ここにあるべきものが無いのを確認して必ず探し出す。
調律師が切った場合は、その時に音がして飛ぶので、当然探す(でしょう)。

この日、目視で確認出来るところは全て見たがここにあるべき物体は見つからず、調律を全て終了しても雑音が出なかったので、
(クリップやヘアピンなどの小さな金属でも響板の上に落下すると雑音が発生する事がよくあります)
誰かがそれを取り除いたのだ、と言う事で、切ったのは調律師、というのがこの日の結論。

この日の主催者様に状況をご説明すると、最高音なのでほとんど使わないし、幸い2本残っているという事で、弦の張替えは施設利用がない2日後の7月24日に行いました。
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それから何事も無く月日が流れ、、、

10月13日、突然雑音発生!
この日にいただいたコンサート前の調律時間は60分。

低音部の奥の方の響板の上に何か異物があり、それから雑音が発生しているようだ。
もしかすると、前の写真の丸印の所にあるべき物の正体が音として姿を表したのだ!

私と舞台スタッフさんで、ブロワーやエアーダスターで目で見えて手で取れる所まで移動しようと試みるが、残念。
移動して雑音が発生する場所は変わっても、目の前に現れない。
そうこうしているうちに時間は過ぎ、気が付けば、何処かに隠れちゃったのか、雑音は出なくなり、
おっとっと、調律をまだしてなかった^^;
という事で、30分で焦って調律して本日は終了。

10月14日、
この日にいただいたコンサート前の調律時間は90分、相変わらず、雑音は発生せず。
念の為に持参したこの道具を響板と鉄骨の間に入れて、磁石の力でくっつけようとするも、落ちている場所がわからないので、検討もつかず。
そして先端が微妙に大きく、全てのエリアには届かなく、断念。
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10月15日、この日は定期調律の日で時間は120分、
どうにかして今日は見つけ出すぞ!と思って、昨日は磁石を3種類買いました。
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そしてこの棒のようなものの先端に磁石をテープで巻いて、フレームの下、響板の上を隅から隅まで少しずつ移動し、あれを探しました。
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そうしたら、かすかにパチっという音がしたのを聞き逃しませんでした!
みーっけ!!
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いやいや、良かったです(^^)v
これで皆様一安心^^
こんな小さな物でも響板の上に落ちると、音の振動に反応して雑音の原因になるんです。
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という事で、最終結論。
色々な状況を想像したり、残された事実を検討した結果、

「今回弦を切ったのは、私の前に入った調律師である」

いやいや、調律師が弦を切ったら普通すぐに申告して直すでしょう!?
と思うのが普通なのですが、今回の一連の現場に残された事実、証拠を考えると、どうしても納得できないんです。

それと、演奏中に最高音が切れるというのも納得できないんです。

以下に、弦が切れる理由を書き出します。

1、演奏時に無理な力が入っている(脱力出来ていない)。
2、弦の金属疲労(この場合は演奏中も調律中も切れます)。
3、乾燥して打弦機構の調整具合が変化した(ハンマー接近距離が狭くなった)。
4、調律師がハンマー接近距離を狭く調整した。
5、低音部の弦の場合、銅線が巻いていて、常時高湿度やペットのオシッコなどで緑青が発生して自然に切れた。
6、調律師が音を聞き間違えて、極端に高い音で調律し、それで切れた。

今回の理由は6番と考えています。


by kaji-piano | 2018-10-16 15:09 | Comments(0)


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